ミズムシにかかったら

 カビによる皮膚病を「真菌性皮膚症」といいますが、最も多いのがミズムシとよばれている汗疱状白癬(かんぽうじょうはくせん)です。初発するのは足で、手からあるいは手だけに生じることはほとんどありませんが、年月がたつと手や爪も侵されてしまいます。

 菌は皮膚の最も外側の角層(垢となってはがれる部分)にのみ存在するので、治療法としては外用剤を塗りますが、爪白癬や難治性のものでは内服薬を用いることもあります。

 菌が角層に存在するのなら簡単に治りそうなものですが、次々と新しい抗真菌剤が開発されているにもかかわらず、再発や悪化を繰り返しやすく完治しづらい疾患です。

 白癬菌はカビの一種なので、高温多湿な日本の風土が繁殖に適しているからでしょうが、私たちの生活でも靴や靴下をはいてい時間も長くなり、これも大きな要因でありましょう。

 カビの繁殖には温度、湿度、栄養が必要条件なので、足、股間、腋窩(えきか=脇の下)など保湿になりがちな所が白癬症の発症しやすい部分です。

 皮膚科医としてアドバイスをしてみたいと思います。足の汗疱状白癬では、

1.   1日に23回は学校や職場でも靴下を取り替える。特に汗の分泌過多な人、自動車を運転する人やスポーツをする人は励行してください。
 

2.   つま先に余裕のある幅広の靴を選び足の爪を伸ばさないように。
 

3.   自宅では素足で過ごしたり夏にはサンダル、下駄、草履などを活用すること。
 

4.   靴の中の通気乾燥を心掛け、日光に当てて殺菌すること。
 

5.   足を洗った後や入浴直後の角質が軟らかくふやけているうちに薬をつけるのが有効です。
 

6.   冬期間はあまりかゆみなどの自覚症状が無いので、つい治療を怠りがちですが、菌が存在する限り病変は進行しているのですから、根気強く治療を続けることが大切です。
 

7.   家族間の感染原因に、ふろ場の足拭きマットがあります。もしだれかが白癬症でしたら共用しないこと。湯上がりの水分を含んだ足の裏をこすりつけたマットは、白癬菌の最良の温床なのですから。
 

[ 大久保 洋平,大久保医院院長 ]

 


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