海外旅行と感染症

今年もたくさんの旅行者が海外に出かけたと思います。外国へ旅行する場合、その国、地域における感染症の状況と、それに対する予防接種についての情報を得ることは大切なことですが、詳しいことは把握できません。ここでは、身近なものについて述べてみます。

 昨年、インドネシアのバリ島を旅行した人たちから多人数のコレラ感染者が出て、大問題になりました。インドネシア政府は、感染源とみられたことに反発していますが、火を通さない料理や水が原因と考えられています。現地では、果物は皮をむく、オン・ザ・ロックは飲まない、などの注意が必要です。また、それほど効果はありませんが、ワクチン接種を受けた方がよいでしょう。

 A型肝炎。これも経口感染です。コレラと同じような注意が必要ですが、昨年から効力のあるワクチンができました。

 蚊に刺されて感染するマラリアがあります。ワクチンはなく予防薬がありますが、副反応が強いので、日本では一般には入手困難です。

 予防法はまず、蚊に刺されないこと。夜間外出時には、蚊取り線香を持参する、厚手の長袖の上着とズボンを着用する、就寝時には蚊帳を使用する(ホテルのものでも穴があいているものがあるので点検すること)などです。

 感染症ではありませんが、破傷風の予防注射は、旅行時ばかりでなく、普段から受けておいた方が良いでしょう。外傷時の予防です。

 発展途上国への旅は魅力的ですが、日本では考えられない多くの感染症があります。予防接種が可能なものもかなりありますので、数カ月前から計画を立てて下さい。

 最後に、アバンチールを求めての性行為感染症ですが、予防策はただ一つ「触らぬ神にたたりなし。」

[ 東 浩,室蘭船員保険診療所所長 ] 

 


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