食い合わせ、飲み合わせ

日本では「人生50年」といわれていたのが、80年まで延びて世界一の長寿国となったが、室蘭市でも65歳以上の人口比率が年々増加してきていると報じられている。

 長寿になった分、癌年令の該当者の増加や成人病にかかる人口の比率が増えて、薬を使う頻度が多くなってきている。高血圧症に糖尿病と神経痛が併発しているというように、何種類かの病気があるために、いくつもの薬を同時に飲まなければならないことも多くなっている。

 昔から、同時に食べるとあたると信じられている食品の組み合わせがあり、ウナギと梅干しやスイカとてんぷらなどがよくいわれていて、これを食い合わせと呼んでいる。

 薬でも何種類かのものを一緒に飲む場合、これと同じようなことが起きないだろうか。実際に反応を起こすことがあって、これを相互作用と呼んでいる。私の科の領域から例を探してみよう。水虫などのカビの薬(抗真菌剤)のあるものとアルコールを併用すると、アルコールの作用が増強されるので飲む量に注意する必要がある。喘息(ぜんそく)・湿疹(しっしん)・蕁麻疹(じんましん)などのアレルギー性疾患に使われる抗アレルギー剤の中のある種のものと、抗真菌剤かマクロライド系と呼ばれる抗生物質を併用して心血管系の副作用を起こすことがある。また、感染症に用いられる抗菌剤といわれるものでは、消炎鎮痛剤との併用で痙攣(けいれん)を起こす恐れがある。

 現在、治療を受けて薬を飲んでいる方が、ほかの病気のために医療機関を受診する必要が起きたときには、必ず薬名を医師に知らせるか、実物を持参して見てもらうことをお勧めする。

[ 鈴木 久雄,皮膚科・泌尿器科 鈴木医院 ] 

 


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