尿に異常があると言われたら

現在は、小、中学校、高校では、毎年健康調査が行われ、身体の成長具合、異常の有無などを調べています。その一つに尿の検査も入っており、尿に異常があったら、蛋白(たんぱく)が陽性、または潜血プラスなので精密検査を受けて下さい、という学校からの通知が来ます。また、成人でも職場の健康診断や成人検査でも必ず尿の検査は行われます。

 尿の異常として指摘されるのは蛋白と潜血(血尿)と糖です。これらのものは、正常健康な人でもごく僅か(わず)かな量は尿に含まれていますが、試験紙で検査して一定以上の反応が出た場合、異常として報告されます。学校での尿検査は一次、二次と行い、二回とも異常が認められたら学校からの通知が来ます。

 尿の検査は痛みも無く簡単なものですが、腎(じん)機能の異常を一番早く知らせてくれます。

 学校からの通知があったら、たとえ元気で何も無くても病院に行って診察を受けて下さい。

 病院では尿の中の成分を顕微鏡で詳しく調べ、必要あれば血液検査、レントゲン検査などをしますが、ほとんどの場合、尿の顕微鏡的検査のみ異常を認めることが多いようです。

 尿に蛋白が出て何も症状がない場合、普通の生活をしながら経過を見るケースが多いのですが、数カ月に一回、また、学校を卒業した場合でも引き続き尿の検査をして貰(もら)い、蛋白が出ているかどうかを確かめましょう。特に血尿を伴っている場合は腎炎の疑いが強く、そうすることによって早期に腎機能の低下を発見し、それに対応した生活、また必要な治療を受けることができます。

 腎臓は大きな臓器で、相当悪くならないと自覚症状が現れません。尿に異常ありと言われたら、前途ある子供さん達の健康な未来を保証するためにも、尿から訴えを生かし、指示を守り、病院を受診してください。そして大事なことは一回で終るのではなく、継続して指示通り尿検査なり生活をされることをお勧めします。

[ 澤山 豊,沢山クリニック ] 

 


目次に戻る

Copyright (C) 1998 by Muroran Medical Association. All rights reserved.