寿命を縮める高血圧

血圧が高いということが即、致命的であるということにはなりません。しかし、高血圧が長く続くと、血液を送りだす心臓に負担がかかり、血管が障害を受けて動脈硬化が進みます。

 放っておけば心臓ばかりでなく、脳や腎臓の血管にも障害が及び、脳卒中(脳出血、脳梗塞)や心臓病(狭心症、心筋梗塞)、腎不全といった重い病気をひき起こし、寿命を縮める結果になります。

 そういう意味で、高血圧は脳卒中、心臓病を起こしやすくする促進因子であると言えます。ほかにも、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙などが促進因子として知られています。

 したがって、脳卒中や心臓病を予防するためには、高血圧の治療のみならず、ほかの促進因子も少なくするように日常の生活習慣を改めることから始めなければなりません。つまり、塩分の少ない食事をとる、肥満者は体重を減らす、適度の運動をする、たばこやアルコールの量を減らすなどに留意し、何か趣味を持って心豊かな毎日を送ることが大切です。

 ところで、高血圧には特徴的な自覚症状が乏しいため、検診などで血圧が高いと指摘されても、そのまま放っておいたり、薬を飲んだとしても、自分勝手に途中でやめたり量を減らしたりする人が少なくありません。すると、その反動のため、血圧が急激に上昇することがあり、非常に危険です。

 今では作用の異なる降圧剤が数多く開発されており、その副作用も単純ではありません。一人ひとり患者さんに最も適した薬剤の選択が必要になってきます。

 そのためには、何でも話し合える患者と医師関係が必要で、この信頼関係こそ高血圧治療のみならず、ほかの成人病治療を成功に導く上でとても大切です。

[ 森川 亮,森川内科医院 ] 

 


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