<困っていませんか>
おもらし、トイレが近い

日本人の高齢化が進み、いかに快適な生活を送るかが大きな問題になっています。尿失禁(自分の医師に反して尿が漏れてしまう)にはいろいろなタイプがありますが、ここでは女性に多くみられるものを取り上げました。

 活発に活動するにも、くしゃみや笑ったりすることで尿が漏れたり、散歩に出ても30分ごとにトイレに生きたくなるようでは、外出もおっくうになります。多くの女性が、こんな悩みを人知れず持っているのではないでしょうか。

<切迫性尿失禁>
 おしっこがしたいと思ったら我慢ができず漏れてしまうもので、高齢者尿失禁の70%を占めます。

<腹圧性尿失禁>
 咳をしたり、走ったり、腹圧のかかったときに尿が漏れるもので、中年女性に多くみられます。原因は尿道括約筋の緊張低下、膀胱下垂(骨盤底筋群の弛緩)

 尿失禁の原因はさまざまですが、詳しくお話を聞くことでおおよその診断がつきます。

 更には、泌尿器科的な検査が必要になります。最近、生理用品が、本来の目的よりは尿失禁用としても多く使われているといわれています。1日に何回取り替えてどの程度濡れるかなどが分かりますと診断に大変役立ちます。

 高齢者ではさまざまな疾患で治療を受けていることが多く、薬剤による排尿障害が起こることもありますので、必ず服用している薬を持参の上受診してください。

 切迫性失禁は薬物治療が中心で大変効果があります。

 腹圧性尿失禁では、薬物は補助的ですが骨盤底筋体操で筋力を強めることで克服が可能です。この体操は、肛門の周りの筋肉をゆっくりと強く締めつけ、5秒間保持し、次に緩めます。この運動を10回繰り返します。

 正しい運動は(1)人前でおならがでそうになったとき、肛門をギュッと締める感じで(2)息を吸いながら胃の方へ向かって吸い込むように締める(3)おしっこを途中で止めてみて、それと同じ感じで締める----ことをイメージして根気よく続けてください。もしも、これで改善が得られなければ比較的簡単な手術によって治癒させることができます。

 健やかなシルバー&ゴールデンエージを満喫するために、1人で悩まないで早く専門医に相談してください。

[ 児玉 直彦,児玉泌尿器科医院長 ] 

 


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