痛みの重症化を防ぐ方法と
|
当院に、体幹四肢の痛みの治療に来院される方には、慢性炎症の放置により重症化した初来院のパターンが多いように思われる。 肩凝り、頚部痛、手、肘関節周囲痛の大部分は、何度も繰り返される軽度の炎症に対して、軽症と侮って十分適切な処置をせず、放置していた場合がほとんである。 長い期間、我慢を続けて炎症を放置しておくと、次第に不可逆性(元へは戻らない)の変化を生じ、やっと重い腰を上げて来院したときには難治性の疾患になっている場合も少なくない。 また、痛みは何度も繰り返すと、その原因疾患そのものは治ったわけではないのに、痛みとしては軽減してくる場合がよくある。 痛みが続くときは、慢性の炎症を放っておかず、まず抗炎作用を有する外用剤を使用してみることだ。それでも簡単に治らない痛みは、早めに専門の整形外科を訪れてみるべきである。何らかの治療すべき原因があることがほとんどである。 日々の関節周囲の炎症や疲労を翌日に持ち越さず、毎朝リフレッシュした状態で1日を迎えるようにすることが肝要と思われる。 腰痛は体動および歩行困難のため、比較的早期に受診するようであるが、膝関節痛は、我慢して重症度を増して来院される方も時々見受けられる。自宅での湿布療法で軽減しない場合は速やかに来院され、早期回復のため、診断治療を受けるのが賢明と思われる。 最後に足関節の慢性疼痛のほとんどは靭帯損傷の放置例がかなりあるように思われる。 最初は腫れて傷むが、外用剤と包帯固定で、歩行時痛も1週間程度で軽減する場合が多い。 しかし、実際に靭帯損傷を伴っている場合は、初期固定をしっかりして、損傷程度に応じて装具など固定付きリハビリに移行するのが通常の保存的療法であると考えられる。 不幸にして慢性疼痛が続く場合は放置せず、早期に来院して受診を受け、装具療法にて日常生活をエンジョイすることをお勧めする。
[ 鴨井
清一,鴨井外科整形外科院長 ] |
Copyright (C) 1998 by Muroran Medical Association. All rights reserved.