生活習慣と動脈硬化症

 世界一長寿国である日本人の三大死因は、第1位悪性新生物(癌=がん)、第2位脳血管疾患、第3位心疾患となっています。

 これらは動脈硬化症を含め循環器系疾患が多く、大半が成人病によりますが、今はその成因と予防的見地から生活習慣病といわれます。生活習慣の中にリスクファクターが混在する慢性疾患で食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒などがその発症、進行に関係する症候群といわれています。

 病気を生活習慣(ライフスタイル)と結びつける考えは、世界的風潮になっております。三大死因の疾患の成因は、生活習慣と環境因子が大半を占め、残りが遺伝といわれています。動脈硬化症は、複数の遺伝素因と環境因子によって発症、進展が起きる疾患といわれます。

 これら多因子性疾患の対策には、悪化防止と社会復帰を中心とする第三次予防や早期発見、早期治療を中心とする第二次予防よりも原因除去を基本とする第一次予防が重視されております。

 生活習慣病の第一次予防として、動脈硬化症の減塩、節酒、肥満対策、臓器障害(肝炎など)ではアルコール多飲など、癌発生では食生活、たばこなど、また最近は、環境ホルモン=ダイオキシン、内分泌撹乱物質=などの保険対策が医療の現場に導入される必要があると強調されています。

 長寿命や高齢者を多く抱えた日本では、予防医学が個々の人に合ったQOL(生活の質)の向上を目指した保健対策に重点が変りつつあります。欧米に比べて日本は、心臓病である冠動脈疾患の発生率が低いことが有名で、遺伝的素因のほかに、食生活によるところが大きく、日本食が「ヘルシーフード」といわれておりあます。

 生活習慣病、動脈硬化症の予防のため、日常生活のポイントとして、生活習慣を見直す一方、各個人の定期健診を忘れずに受けることが大切であります。

[ 鴨井 清成,医療法人社団鴨井内科医院 ] 

 


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