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「在宅療養支援対策委員会」設置の目的


-「在宅療養支援対策委員会」設置の目的-

理事  佐野 道朗


 大学医局による医師の引き揚げは北海道各地で深刻な問題となっていますが、後志地区でも小樽市をはじめ、岩内、倶知安の中核病院が危機的な状況にまで追い込まれています。北後志の中核病院である余市協会病院もまた、脳外科、産婦人科、耳鼻咽喉科が相次いで医師不在となったのに加え、今年の4月からは内科常勤医が1名だけとなり、まさに異常事態と言うほかありません。また、国は療養病床の介護保険適用型を全廃、医療保険適用型を大幅に削減する方針を固め突き進んでいます。さらに、医療制度改革の影響を受けて、有床診療所の運営継続が困難となり、勤医協余市診療所でさえも無床診療所へ移行せざるを得ない状況です。
 これらのことから、今後、余市でもやむなく在宅療養を強いられる高齢者が増加すると予想されますが、そうなると、医療ニーズの高い人たちが医療対応不充分な施設系サービスに頼らざるを得なくなり、その結果、介護現場での混乱やトラブルが多発すると考えられます。

 かかる事態を受けて、余市医師会は協議のうえ次のような対応をすることを決めました。
まず、余市協会病院の医師不足問題は夜間救急体制の崩壊と直結することから、北後志地域保健医療対策協議会の要請を受けて、月に3日程度、会員が交替で余市協会病院の夜間当直にはいることにしました。今後の状況によっては更に多くの会員に協力を呼びかける必要があるかも知れません。
 さらに、3月22日の医師会総会において、今後予想される高齢者の医療と介護にかかわる様々な問題に取り組むために「在宅療養支援対策委員会」の設置を決めました。


本委員会の目的は

@ 内科系無床診療所をを中心に診療チームを作り、協力して在宅療養、施設入所者の医療ニーズに対応すること。
国が政策誘導する「在宅療養支援診療所」は24時間、365日対応を義務づけるもので単独の診療所ではハードルが高く登録を躊躇する医療機関が多いのが実情です。医師会内で複数の診療所がチームを作ることで互いに担当日時や地域を調整して対応することが可能になります


A 今後、行政を中心に地域ケア整備計画が策定されますが、そこに医師会の考えを積極的に提言するとともに、他の関係する組織、事業所との連携をはかりながらネットワークを構築します。本委員会はその窓口となります。
関係団体・組織・事業所とは
 a.まず高齢者とその家族
 b.行政
 c.社会福祉協議会
 d.地域包括支援センター
 e.訪問看護ステーション
 f.ケアマネージャー連絡協議会
 g.歯科医師会
 h.薬剤師会
 i.看護師会
 j.介護保健施設(特老、老健など)
 k.グループホーム
 l.指定事業所
 m.その他NPO法人、ボランティア団体など
以上を想定しています。

B 余市協会病院の負担軽減に協力して、協会病院には中核病院本来のより高度、専門的な医療に専念できる環境を整えること。
このことが結果として北後志の地域医療を守っていく最善の方策であると考えます。ただ現在協会病院が行っている業務に医師会として関わる場合、協会病院スタッフの理解と協力が必要なことは言うまでもありません。


 このように本委員会は、各方面と連携し、互いの業務に対する理解を深め、協調することで、高齢者が安心して医療・介護を受けられるような地域にしていくことを目的とします。限られた人的資源、施設や設備を最大限有効に活用することが肝要です。多くの高齢者は医療と介護の両方を必要としています。
われわれは常にそのことを念頭において行動しなければならないと思います。