- 北海道医報掲載
- 日本医師会
第20回男女共同参画フォーラム
第20回男女共同参画フォーラム
令和8年4月4日(土)14:00
沖縄県・ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城
常任理事・医療関連事業部長 寺本 瑞絵
第20回男女共同参画フォーラムが、去る4月4日(土)に沖縄県医師会の担当により那覇市にて開催された。参加者は213名(男性89名/女性124名)であった。
今年は「世代・ジェンダーをこえて ちむどんどん」をメインテーマに、日本医師会・松本会長、沖縄県医師会・田名会長、沖縄県・玉城知事の挨拶の後、基調講演が行わ
れた。
◇
基調講演⑴「DEIB推進とこれからの大学」
国立大学法人琉球大学 学長 喜納 育江
DEIBは、多様性・公正性・包摂性・帰属意識を指し、組織の成長とイノベーションに不可欠な考え
方である。琉球大学では2010年頃から女性研究者支援を進め、採用比率を20%台から40%へ引き上げる
など成果を上げてきた。しかし日本全体ではジェンダーギャップ指数が低迷しており、意思決定層の女
性比率は依然として低い。
ダイバーシティは性別に限らず国籍・障害・年齢など多様な要素を含み、それらを組織に包摂するイ
ンクルージョンが重要となる。全員に同じ支援を行うEquality(平等)ではなく、個々の状況に応じた
支援で同じ成果を目指すEquity(公正)の視点が求められる。人手不足が深刻化する中、DEIBの実
践は大学を含むあらゆる組織にとって働きがいのある職場づくりの鍵となる。
基調講演⑵「沖縄の経済と女性力」
沖縄経済同友会 代表幹事 渕辺 美紀
経済同友会は経営者個人が参加する政策提言団体で、全国44組織のうち女性代表幹事は私一人である。
沖縄は観光収入が1兆円規模に成長した一方、県民所得は全国最下位、子どもの貧困率は21.8%と格差
が深刻であり、高齢者就労やDXによる生産性向上が急務である。こうした課題を踏まえ、那覇空港・港
湾・基地跡地を一体的に開発する「Gate Way 2050Projects」を提言し、国家戦略として採択された。
一方、女性活躍ではL字カーブやマミートラックが依然として根強く、上位職に女性が少ないため課題が
見えにくい。私は社員の多様な働き方に対し柔軟に調整してきたが、まだ十分とは言えない。環境と機会が
整えば、女性は必ずその能力を発揮できる。女性が働きやすい環境を整えるリーダーを増やすことが、人
口減少時代における最重要戦略だと確信している。
◇
日本医師会男女共同参画委員会および日本医師会ドクターサポートセンター事業の活動について報告
があった後、シンポジウムが行われた。
◇
シンポジウム
⑴「これからの自分の働き方~世代別の価値観と課題~」
Ⅰ.「働きたい」を叶える社会を目指して
中部徳洲会病院 研修医 志田原 睦
沖縄県中部徳洲会病院で働きながら大学院研究を続け、子育てとの両立に日々向き合っている。保育
園の開園時間の関係で回診に遅れることもあり、当直・日直の配慮を受けつつ、急な欠員には柔軟に対
応している。休日は子どもと自然に触れる時間を大切にし、また、働く姿を見せることが子どもの価値
観形成にもつながると感じている。
小児科医を志しており、実習を通して入院児を支える家族への支援の重要性を実感した。
地域に根差した医療を大切にし、成長していきたいと考えている。
Ⅱ.女性医師のキャリア形成とその課題~自身のキャリアを振り返って
琉球大学病院 病理診断科 助教 玉城 智子
2010年に琉球大学医学部を卒業し病理診断科を専門に2016年に専門医を取得、2023年に博士号を得た。
2013年・2019年の出産期は長期履修や休学で育児と研修・研究を両立した。
現在は医局長として診療・教育・研究を担うが、管理職では時短が使いにくく有休で調整している。
専門医を取得する頃には利用できる育児支援が減り、離職者が増えるため、小学校以降も使える柔軟
な制度整備が必要だと感じている。制度が整えば「働きたいのに働けない」状況は必ず改善できると
考えている。
Ⅲ.世代別の価値観と課題
那覇市立病院 産婦人科 科部長 池宮城 梢
2003年に琉球大学を卒業し産婦人科医として勤務。第1、2子は制度を知らず退職して出産し、4
カ月で復職した。夫は多忙で不在が多く、ワンオペで育児と仕事に追われた。現在は育児負担が減った
一方で仕事量は増え、人員不足と世代偏在を実感している。管理職として多様な働き方の調整が課題
で、十分な人員確保と世代の幅が不可欠と考える。
女性の改革だけでなく男性の働き方改革こそ真の男女共同参画につながると感じており、今後の議論の
深まりに期待している。
Ⅳ.大切にしてきたこと あくまでも、わたし流
沖縄県立北部病院 病院長 佐々木 尚美
名古屋・東京・沖縄で研修を重ね、「女性である前に一人の人間としてしっかりしなさい」という親
の教えと沖縄の文化に支えられ「女性医師」を意識せず働いてきた。責任感と学び続ける姿勢を軸に、
患者や家族の声に耳を傾け仲間と連携して成長してきた。管理職となってからは言葉の重さを意識し、
相手の強みに目を向け感謝を伝えることを大切にしている。「一流であれ」「楽しく続ける」を指針に、
変化を恐れず尊厳をもって人と向き合い続けたい。
⑵「男性育休の実際と課題について」
Ⅰ.男性医師の育休経験から考える働き方改革と働きやすい職場
琉球大学病院 産婦人科 助教 平良 祐介
産婦人科医として子宮頸がん治療に従事し、4人の子の父でもある。第3、4子では先輩の助言を受
け約3カ月の育休を取得し、保育園の送迎や家事、上の子のケア、妻の休息確保に努めつつ自己研鑽の
時間も得られた。心理的ハードルや収入減の課題はあったが、働き方改革が進む中で育休を取得したこ
とは、家族の満足度向上や業務の属人化解消、離職予防につながり、多様なライフイベントに対応でき
る職場づくりの一歩だと実感している。
Ⅱ.自身の育休取得体験
那覇市立病院 脳神経外科 医長 下地 亮
急性期病院で脳神経外科医として働き、5人の子の父でもある。4人目までは育休を取れなかった
が、5人目で必要性を強く感じ1年間の育休を取得。
上の子の行事や家事・育児に関わり、実際の負担を体感したことは大きな気づきであった。一方、個人
に依存していた業務の引き継ぎの難しさや収入減、男性育休への誤解も経験した。
それでも家族関係と働き方の価値観が大きく変わり、男性育休は誰もが働き続けやすい職場づくりの
重要な一歩だと確信している。
Ⅲ.男性育児休暇―妻の視点から
南部クリニック 西 由希子
夫婦ともに医師で実家も遠く支援を得にくい中、産後1カ月は自分が休み、その後、生後2~7カ月
の間は夫が育休を取得。夫に家事や育児を一から教えたことは負担であったが、育休を通じて夫は育児
の全体像や名もなき家事を理解し、自然に役割分担が成立するようになった。収入減や早期復職による
負担、また、「男性は褒められ女性は当たり前」という空気に違和感もあったが、夫の育休取得は終点では
なく、家族の基盤を強める出発点だと実感している。
◇
続いて、総合討論ではシンポジストと参加者の間で活発な意見交換があった。
その後、次期担当県の千葉県医師会・寺田副会長より、令和9年4月10日(土)に千葉市にて開催予定であると挨拶があり、盛会裡に終了した。

