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小児の救急

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-はじめに-

 小児の救急状態、とりわけ生命の危険を伴う状態は別として、現在の状態が緊急を要する状態かどうか判断することが重要です。しかし、その判断も時と場合によっては冷静にできない事が多々あります。 特に乳幼児や初めての子どもを持つ親は、核家族化の進んだ現在では判断も大変困る事が多いと思います。やはり一番大事なのは、いつも子どもをみている両親、特に母親の観察力が大変参考になると思います。

以下のような状態は救急ないし早急に医療機関に連絡をとらなければならない状態です
 けいれん重積状態(けいれんが10〜15分以上持続する場合)や意識のない状態
 呼吸困難や喘息発作状態
 嘔吐や下痢などでかなりぐったりした状態
 誤飲(タバコの溶けた水、石油、農薬、有機物、ボタン電池など)
 腹痛、頭痛などの訴えがいつもとかけ離れた状態
 頭部や腹部の打撲でぐったりした状態、出血の止まらない状態
 基礎疾患の悪化や急激な変化など



-子どもに多い症状について-

(1)全身症状、一般状態
 子ども、特に乳幼児は病気が重くなると機嫌がわるくなります。逆に機嫌がよければあまり心配のない状態とも考えられますので、いつもみている母親の観察力がポイントになります。 哺乳力が弱い、機嫌がわるくあまりあやしても笑わない、反応が少ない。特に生後1ヶ月未満の新生児はあまり症状が出ないので要注意です。排便があるのにあやしてもなかなか泣き止まない、 泣き声が弱々しい、またはうめき声で呼吸が苦しそうだ。乳幼児では、いつも遊んでいるのに遊ぼうとしない、立てない、ものを食べようとしないなどいつもと違う様子の時は注意してください。

(2)発熱
 子どもの症状のなかで一番多くて心配なのは発熱です。いわゆる風邪に伴う症状の場合が一番多いのですが、どのような場合に救急ないし早急に医療機関に連絡をとらなければならないか判断しなければなりません。 先程も述べたとおり子どもの発熱の多くはいわゆる風邪などの感染症に伴う症状である事が多いので、発熱の時期、持続時間ないし日数、発熱以外の随伴症状の程度、基礎疾患の有無などを考慮します。

 生後2ヶ月以内の乳児の高熱は他に症状がなくても要注意
 下痢や嘔吐に伴う脱水症状や不機嫌や顔色不良の時
 けいれんや意識状態不良の時
 発熱の状態が一日のなかで繰り返したり、程度が重くなった場合
 解熱剤の使用について主治医などから指示されているも、あまり反応しない場合
これらの状態の時は救急ないし早急に医療機関に連絡してください。

一方、発熱があるが機嫌がよく他の症状がなくて元気な場合は、特に時間外の時はそのまま様子をみるか、頭など冷やしたり、 高熱があれば場合によっては解熱剤を使用(以前にかかりつけ医などから指示されていればなお良い)して、翌日の医療機関の開くまで様子をみることも可能です。

(3)けいれん
 基礎疾患(てんかん、神経系、代謝異常など)がある場合をのぞいて、無熱性のけいれん(けいれんの前後で発熱の無い場合)は要注意です。 熱性けいれん(37.5〜38℃程度以上の発熱を伴う場合)で持続時間も長い場合や、何度も繰り返し起こしている場合は救急ないし早急に医療機関に連絡してください。 一方、いままでに熱性けいれんの既往があって、けいれん止めの薬(座薬など)を持っていて発熱の際に使用を医療機関から指示されているときはまず使用してみてください。

(4)ぜいめい、喘鳴(呼吸時ゼーゼー音がする)、呼吸困難
 特に乳幼児のぜいめいや呼吸困難はあわてる事が多いのですが、その原因のひとつに鼻やのどや気管に異物(オモチャの破片、豆、あめ、紙など)による事もあるので注意してください。 子どものぜいめいや呼吸困難のなかで喘息や心疾患の基礎疾患がある場合要注意です。また風邪などの感染症のなかで1歳以下の仮性クループ(急性喉頭炎)も呼吸困難を伴うことがあるので要注意です。

(5)頭痛
 子ども特に幼児の訴える時はどの程度なのか、本当に痛いのか判断に苦慮する事がありますが、急激な訴えはやはり要注意です。頭痛の他に随伴症状や、頭部打撲などの既往など考慮して判断してください。

(6)下痢、嘔吐、腹痛
 子ども特に乳幼児は風邪症状に下痢や嘔吐や腹痛を伴うことが多く、いろいろなウイルスや細菌によって胃腸炎を引き起こします。特に保育所や幼稚園や学校で集団発生することもあります。 原因にもよりますが特に乳幼児の場合は下痢や嘔吐によって脱水状態になりやすいので要注意です。脱水症状について簡単に説明します。

 排尿回数、尿量の減少
 唇、口腔内の乾燥気味
 目が落ちくぼんだり、皮膚が弛緩状態(緊張がない、つまんでみてしわが元に戻らないない等)
 食欲がなく元気がない状態
また便の性状で血便やタール便(腸重積症など)のときは要注意です。
腹痛も乳幼児の場合は表現が正確に、十分に訴えることができないので、他に随伴症状がないかどうか見逃さないよう注意してください。(腸ヘルニヤのかんとんなど)

(7)鼻出血、吐血、下血
(イ)鼻出血について
 子どもの場合は大抵鼻の入口付近からの出血が多く、鼻ほじりや風邪などに伴う鼻閉やアレルギー性鼻炎によることが多いが、稀に血液疾患も隠されていることがあるので要注意です。
(ロ)吐血について
 子どもの場合は鼻血を飲み込んだ時が多いが、稀に消化管の疾患や異物誤飲もあります。
(ハ)下血について
 子どもの場合は特に乳幼児の場合は肛門が切れて出血する(その場合は血は鮮血)場合が多いが、腸重積症もあるので要注意です。

(8)やけど
 1歳から2歳くらいまでの子どもに多く、居間、台所や浴室で起こることが大半です。特に注意はハイハイし始めの乳幼児で、テーブルの上の物をよく触るので、お湯の入っているコップやインスタント食品には要注意です。 ポットジャーや炊飯器のそば、ストーブの周りや浴室ではひとりで遊ばせないこと。
もしやけどをしたら、その程度にもよりますが、とにかくすぐ冷やすことが大事で、衣服の上から冷たい水などで冷やしてください。 そして、やけどの範囲や全身状態を考慮して救急かどうか判断してください。

(9)蜂による虫刺され
 刺された程度にもよりますが、アレルギー体質の人や何度も刺されたことのある人は要注意ですので、早急に医療機関を受信してください。

永井 文作