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ダニに刺された時には

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 初夏を迎えると、山菜取りや森林浴などの健康ブームにものって野山に出かける機会が多くなります。 しかしこの時期はマダニの活動期にあたっており、 成虫は葉っぱの先端で猫や犬、人をも待ち受けており、体温や振動、動物が吐き出す炭酸ガスに反応して取り付きます。  幼ダニ(若ダニ)は葉の付け根の泡の中にいて泡と一緒に付くようです。付着すると体温の高い方向に移動しながら、まぶたや耳、首、脇の下、胸、膝の裏、内股、 肛門のまわりなど柔らかい部位に寄生します。体についても這い回っているときや、食いついても時間が短ければ比較的簡単に取れます。しかしすでに吸血中のときはマダニ を引っ張ってもそう簡単にはとれません。マダニはのこぎり のようなクチバシを皮膚に刺しており、セメントようの物質を分泌しクチバシを皮膚に固定しているからです。

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 ダニは唾液により組織を破壊しつつ、吸血を続け日で小豆大ほどにもなります。ダニに刺されても痒みと痛みを少し感じるだけなので、この時になって初めてダニの刺傷に 気付くことも多いのです。

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 あわてて無理に引っぱると深く刺さった口のみが残ってしましまい、あとで炎症を起こし、切開される目に合います。ピンセットや毛抜きなどで、できるだけ皮膚に近い部分 を差し込むようにしてつまみ、左右どちらかにゆっくり回転しながら一定の力で引き抜きます。

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 あとは普通の傷口と同じように消毒します。抜き取ったダニの頭部に欠けた部分がないかどうかを確かめ欠けていたら皮膚科を受診するほうが安全です。



 野山で野外活動する際には、ダニを予防する服装が大切です。明るい色合いのなるべくすべすべの衣服が、ダニの付着防止と発見に役立ちます。 首周り(タオルを巻くなど)・手首・足くびからの侵入を防ぐことも大切です。半そで・半ズボン・ソックスにスニーカーで 野山を駆け廻るのは危険このうえなしです。 野外活動後は入浴してダニの付着を調べ、着替えをします。おなじ衣服を着ると危険です。



 最後にマダニが血を吸うときに感染するライム病についてのべます。
日本では1986年に長野県で発見されて以来、長野県・北海道で約80症例の報告があります。 スピロヘータの一 種であるボレリア菌が感染して発病します。
数日から数週間後に、ダニの刺傷部を中心にあちこち移動する紅斑が生じ、 発熱・悪寒・頭痛・筋肉痛・関節痛・全身倦怠感などインフルエンザ様症状を伴うこともあります。治療はドキシサイクリン、アモキシリン、テトラサイクリン、エリスロマイシンが使用されます。

田中 一志