活動報告

医師のキャリア形成をサポートするため様々な活動を行っています。

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相談窓口利用者とコーディネーターとの懇談会

常任理事・医療関連事業部長 藤井 美穂

 開設から3年目を迎えた「女性医師等支援相談窓口」の相談実績は順調に伸びており、平成25年度は71件、平成26年度もこの3ヶ月間で20件の相談がありました。その主な内容は、育児サポートに関することが一番多く、事業の登録者も年々増えています。
 そこで、今年度も7月19日(土)に相談窓口を利用し、育児サポート事業に登録をした先生方にお集まりいただき、利用者相互の交流、情報交換ならびに利用者からの要望をとりまとめ、今後の支援方法に反映させるため懇談会を開催しました。
 当日は、当会役員、相談窓口のコーディネーターの他に、北海道保健福祉部地域医療課の石井医療参事にも出席していただき、子育てをしながら働くために必要なサポート、医師会の相談窓口に求めるもの、子育てをしながら働くために工夫していること、サポート体制に望むことなどをお聞きしました。
 
<復職サポートについて>

 [利用者]復職支援を利用した際に、研修先を選択した決め手は、医師数が少ないため復職研修をする余裕がない病院が多い中で、これから復職研修に力を入れていく予定があり、できるだけ私の意見を尊重すると言ってくれた病院であったこと。研修中は、自分ができると思っていたことができずに、自分の感覚と現実には大きなズレがあった。
[利用者]転科した時は、同期がいなくて後輩ばかりで、周りから気を遣われ孤独感を感じていた。医師は社会的な職責があると思っているので、子どもが熱を出したからと外来を休むわけにはいかず、一旦保育所に預けて、保育所から連絡がくるまでの間に外来を終わらせるなど、少し強引に職務を全うしてきた。
また、転科したことで覚えることが多く、子育てとの両立はとても苦労した。勉強会への参加に際して、メーカーに託児所の設置を直接交渉している。メーカーによって対応に違いはあるものの、粘り強く交渉することで、設置してくれるメーカーもあるが、医師会でメーカーに託児所設置を促してほしい。
[※注 懇談会終了後、医師会から託児所設置の要望書を昨年に引き続き提出しました。下段をご参照ください。]
[利用者]各メーカーで行っている、自宅のパソコンから講演会を聞くことができる「WEBシンポ」の利用も良い方法だと思うが、子どもと一緒に家にいながら集中して勉強することは難しく、家にいるときは、子どもとコミュニケーションを取りたいと考え、極力、仕事は家に持ち込まないようにしている。

<育児サポートについて>

  医薬品卸協会などに提出した「要望書」を掲載する。


[利用者]早朝から診てくれるクリニックを受診し、診断書と薬をもらえば、育児サポーターが自宅で子どもを見てくれるので、非常に助かっている。
[利用者]小児科に限らず、全科に共通して土日の休日当番と同じような扱いで、早朝診療の当番制を医師会主導で実現させてもらいたい。
[利用者]子どもが小学校に入学すると支援が少なくなってしまうので、非常に困っている。私の場合は、学童保育のことを考えて姉妹揃って預かってもらえる幼稚園を選び、交互に上手く活用している。
[利用者]私も感染症での臨時休校やお盆休みなどに備えて学童保育を掛け持ちしている。予備の預け先を事前登録しておくことはとても役に立つ。
[CN]札幌は人口が多く需要もあるが、札幌以外の地方ではまだまだ学童保育自体が少ないと思う。学童保育については、医師会としても今後情報を収集していくが、何か情報があったときは提供してほしい。

<地方勤務について>

[利用者]地方勤務のメリットはさまざまなことを経験でき、技術向上を図れることだと思うが、その反面、24時間体制で常に電話が鳴るような環境で子育ても同時にこなすのは、無理がある。医師を続けることを諦めてしまう原因になりうる。
[CN]先日訪問した八雲総合病院は、道内の中でも待遇が非常に良く、医師が働くにはとても良い環境であった。一番のメリットは職住近接で、院長も八雲に来てくれれば、町ぐるみで全力で支援すると言っていた。地方勤務と聞くと嫌がる気持ちもわかるが、サポートしてくれる素晴らしい病院もあるので、病院と医師とのマッチングができれば良いと感じた。
[利用者]地方は、夜中に呼ばれた時などに子どもを連れて病院に駆けつけることができたり、看護師が子どもの面倒を見てくれたりと、札幌よりも融通が効き、周りのサポートが暖かいところが良い面だと思う。札幌では緊急時でも自分一人で何とかしなければならず、周りのサポートはあまり期待できない。
[利用者]地方病院の応援のために、1歳の子どもを連れて北見に2泊3日の出張に行った時は、病院側がオムツやベビーベッドを用意してくれて、外来や手術の間は事務の方が交代で子どもの面倒を見てくれた。出産してから手術の回数も減っていたので、自分の技術を取り戻すためにも良い経験だったと思う。

<復職について>

 [利用者]8年も休んだのは、本当に長過ぎたと感じている。すべてのことが一からになってしまう。復職は本当に大変であり、同期と比べると役職や資格についても大きな差ができてしまっているので、ブランクは少しでも短い方がいいと思う。
[利用者]2年のブランクで復職したが、それでも新しい知識を取り入れるのに時間がかかった。以前は普通にできていたことができないなど、戸惑うことが多かった。仕事のことを考えると産後すぐに復職した方が良いが、子どものことを考えると少しでも長い時間一緒にいてあげたいので、両方のバランスが難しい。
[CN]医師だけに限らず、日本社会全体としてワークシェアリングの概念を広めていかなければならない。ペースダウンして働き続けられる環境が一番である。
[利用者]完全に休職してしまうと、期間が短くても感覚は鈍ってしまう。パートや半日勤務などでコツコツと続けていくことが大切である。

<その他>

  託児室を併設しました。


[利用者]道外の学会へ参加する時は、国内の総会レベルの学会には、託児室がほぼ設置されているので、私は毎回子どもを連れて参加している。託児所が無い学会の場合は、設置してもらうよう交渉する。国際学会でも託児所が設けられていることが多い。
[CN]道内のある市立病院では、勤務医部会を設け子育て中の女性医師の育休取得に向け支援していたが、最後まで病院側と折り合わず、結局退職してしまった。仕事・子育て・休暇・給与など個々によって希望は異なるが、優先順位をつけてここだけは譲れないというところを持っていなければならない。すべてが希望通りになることはなく、育休制度などを利用する女性医師側にも柔軟な対応が求められる。



 最後に、石井医療参事から、そもそも子育ては女性がするもの、という古い考えのもとに女性医師支援が成り立っていると感じている。北海道では、子育ては女性だけの仕事ではないという意識付けから取り組んでいきたい。と挨拶があり閉会しました。
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