救命蘇生法の手順4.心肺蘇生/胸骨圧迫

すべての市民救助者は訓練経験の有無にかかわらず、心停止と判断される傷病者に対し、胸骨圧迫による心肺蘇生を行うことが重要です。強く・速く・絶え間ない胸骨圧迫によって、救命率は大幅に向上します。その方法をしっかり習得しておきましょう。

方法

心肺蘇生は胸骨圧迫から開始する

1.仰向けに寝かせた傷病者の胸の横にひざまずく。胸骨圧迫はできるだけ硬いもの(床など)の上で行う。脱気できるマットレスなら、すばやく空気を抜く。(図A)

2.胸骨の下半分(胸の真ん中が目安)に片方の手のひら基部(手首に近い部分)をあて、もう片方の手を重ねて組む。垂直に体重が加わるように腕を真っすぐ伸ばし、組んだ手の真上に肩がくるような姿勢に。(図B・図C)

3.成人(8歳以上)に対して
手のひら基部だけに力が加わるよう意識しながら、傷病者の胸が少なくとも5cm沈み込む程度に圧迫する。(図D)

3.小児(1〜8歳未満)に対して
成人と同じ方法で、胸の厚さの約1/3の深さを目安に圧迫する。体格に応じて両手、片手のどちらで行ってもよい。(図E)

3.乳児(1歳未満)に対して
胸の真ん中に指を2本当て、胸の厚さの約1/3の深さを目安に圧迫する。(図F)

4.1分間当たり少なくとも100回のテンポで胸骨圧迫を行う。(図G)

5.毎回の圧迫の後で、胸が元の高さに完全に戻るように十分圧迫を解除する(ただし、胸骨圧迫が浅くならないように注意する)。(図H)

6.救助者が疲労して、圧迫の強さ、速さ、解除(胸の戻り)などが不十分になるのを防ぐため、周りに協力してくれる人がいたら、1〜2分ごとを目安に胸骨圧迫の役割を交代する。交代による胸骨圧迫の中断は最小限にとどめ、休んでいる救助者は、胸骨圧迫の位置、テンポ、深さが適切に維持されているかをチェックする役目に回る。(図I)

メモ

圧迫時の手の重ね方

手のひら全体での圧迫や、指先を曲げた状態での圧迫は、肋骨損傷などの原因にもなり好ましくありません。手のひら基部に力を集中させる確実な方法として、組んだ上側の指で下側の指を持ち上げるようにするとよいでしょう。

参考

年齢別の胸骨圧迫

  成人(8歳以上) 小児(1~8歳未満) 乳児(1歳未満)
圧迫の位置 胸骨の下半分(胸の真ん中)
圧迫の方法 両手で 両手または片手で 2本指で
圧迫の深さ 少なくとも5cm

胸の厚さの約1/3

圧迫のテンポ

1分間当たり少なくとも100回
圧迫の中断 中断は最小限に

その後の手順