AED(自動体外式除細動器)

AEDは、心臓突然死の原因になる心室細動(不整脈)を、電気ショックによって取り除く(除細動)装置です。AEDが到着したら、すみやかに傷病者に装着し、除細動を開始します。音声やランプの指示に従い、誰でも簡単に操作ができるようになっています。

AEDの構造 ※機種によって異なります。

メモ

除細動までの時間と社会復帰率

心室細動や無脈性心室頻拍による心停止状態では、早期に電気的除細動を行うほど社会復帰率が高く(5分以内で約5割)、救急隊の到着
以前に現場にいる一般市民がAEDを使用することの重要性を示唆しています。

方法 成人(8歳以上)

1. AED到着
AEDが到着したら、傷病者の頭の近くに置き、ただちに使う準備に移る。救助者が2人以上いる場合は、準備の間も心肺蘇生を続行する。
2. 電源を入れる
フタを開けると自動的に電源が入る機種と、電源を押して作動する機種がある。電源がついたら音声ガイドとランプの点滅に従って操作する。
3. 電極パッドを貼る
傷病者の衣服を開き、胸をはだける。電極パッドを袋から取り出し、パッドに描かれた絵の位置を参考にして、1枚を前胸部、もう1枚を側胸部の肌に直接貼り付ける。
(※電極パッドのケーブルをAED本体に差し込むことが必要な機種もある)
4. 心電図解析
電極パッドが正しく貼られると、「傷病者から離れてください」などの音声ガイドが流れ、自動的に心電図解析が始まる。(※解析ボタンを押すことが必要な機種もある)。誰も傷病者に触れていないことを確認する。
5. 電気ショックの指示が出たら
AEDが自動的に充電を開始。誰も傷病者に触れていないことを再度確認し、充電完了を知らせる音声ガイドやボタン
点滅による指示に従って「ショックボタン」を押す。この瞬間、傷病者に強い電気が流れ、体がビクッと突っ張るのがみられる。
6. 心肺蘇生とAEDを繰り返す
4.の心電図解析で「ショック不要」の指示が出たときや、5.の電気ショック後は、ただちに胸骨圧迫を再開する。約2分後にAEDが再び自動的に心電図解析を始めるので、4.からの手順を繰り返す。
7. 続行/中止の判断
傷病者が(嫌がって)動き出すか、救急隊などに引き継ぐまで続行する。傷病者が動き出して心肺蘇生⇔AEDを中止しても、電極パッドははがさず、電源も入れたままにしておく。

メモ

AEDの設置場所

 一般市民がAEDを使用して心停止者の早期除細動を行えるように、空港や駅、役所、商業施設、ホテル、運動施設などの公共の場はAEDは数多く設置されています。緊急のときに備えて、普段の行動範囲の中でどこにAEDが設置されているか、確認しておくとよいでしょう。

メモ

乳児に対するAED使用

 新しいガイドラインで、これまで適用外だった1歳未満の乳児にもAEDを使用してよいことになりました。また、エネルギー減衰機能付きの小児用AEDパッドがないなど、やむを得ない場合は、6歳未満の小児・乳児にも、成人用パッドを代用すべきとの指針が示されています。


メモ

電極パッドを貼るときの注意

●電極パッドは肌にしっかり密着させること。電極パッドと肌の間に空気が入っていると電気ショックがうまく伝わりません。

●傷病者の胸が濡れていると、AEDの効果が不十分になります。乾いたタオルなどで拭いてから貼り付けを。

●乳房の大きい傷病者では、向かって
左用のパッドを側胸部か、左乳房の下に装着します。胸毛が多いときは剃ることが望まれますが、それによる電気ショックの遅れは最小にとどめます。

●心臓ペースメーカーや植え込み型除細動器を使用している傷病者に対しては、電極パッドをそこから8cm以上離して装着する必要があります。このため、電極パッドを胸壁の前面と背面(または側面)に装着してもよいとされます。