救命蘇生法の手順5.吸呼を観察

方法

  1. 傷病者の胸と腹部の動き(呼吸により上がったり下がったりするか)を見て、〝普段どおり〟の呼吸があるかを観察。
  2. 1.の動きがなければ「呼吸なし」と判断。死戦期呼吸(*)などの普段どおりでない呼吸や、約10秒かけても判断に迷う場合は心停止と考えて、〈手順⑤〉の胸骨圧迫へ。
  3. 反応はなくとも、普段どおりの呼吸がある場合は、のどの空気の通り道が狭まったり、吐物が詰まるのを予防するため回復体位(下図)にし、様子を見ながら応援や救急隊の到着を待つ。呼吸が普段どおりでなくなったら、〈手順⑤〉の胸骨圧迫へ。

注意

死戦期呼吸とは?

心停止の直後によくみられる、しゃくりあげるような途切れ途切れの呼吸。市民救助者はこれを「呼吸あり」と誤認し、心停止を見逃すことも多いので注意を。このほか普段どおりでない呼吸として、極端な徐呼吸(まばらな呼吸)、いびき様の呼吸、うなるような呼吸などが挙げられます。

呼吸が確認できたら 回復体位

  1. 横向きに寝せた傷病者の下側の腕を前に伸ばし、上側の腕を曲げて、その手の甲に顔を乗せる。姿勢を安定させるため、上側のひざを約90度曲げる。
  2. 救急車到着までの時間内に、回復体位の向きを変える必要はほぼない。長時間の同じ姿勢で、まれに下側の神経などが圧迫・損傷することもあるので、救急隊の到着が遅れ、30分以上経過するような場合は、回復体位を反対向きにするとよい。

メモ

判断に迷ったときに

普段どおりでない呼吸は、心停止以外でもみられることがあります。仮に心停止ではない傷病者に胸骨圧迫を行ったとしても、大きな危害を及ぼすことはまれで、判断に迷った場合には心肺蘇生を開始することが強く推奨されています。

その後の手順