心肺蘇生/胸骨圧迫

救命講習などの経験がない人は、心停止と判断される傷病者に対し、胸骨圧迫だけを実施することが推奨されています。強く、速く、絶え間ない胸骨圧迫によって、救命率は大幅に向上します。

方法

心肺蘇生は胸骨圧迫から開始する

1.仰向けに寝かせた傷病者の胸の横にひざまずく。

2.胸骨の下半分(胸の真ん中が目安)に片方の手のひら基部(手首に近い部分)をあて、もう片方の手を重ねて組む。垂直に体重が加わるように腕を真っすぐ伸ばし、組んだ手の真上に肩がくるような姿勢に。

3.手のひら基部だけに力を加え、傷病者の胸が約5cm沈み込むように圧迫する。小児は胸の厚さの約1/3沈み込むくらいを目安に。体が小さく、両手で強すぎる場合は片手で行う。

メモ

圧迫時の手の重ね方

手のひら全体での圧迫や、指先を曲げた状態での圧迫は、肋骨損傷などの原因にもなり好ましくありません。手のひら基部に力を集中させる確実な方法として、組んだ上側の指で下側の指を持ち上げるようにすると良いでしょう。

4.1分間に100~120回のテンポで、強く、速く、可能な限り中断せずに絶え間なく行う。

5.毎回の圧迫の後は、胸が完全に元の高さに戻るように、十分圧迫を解除する。ただし、圧迫が浅くなったり、圧迫位置がずれないよう注意する。

6.救助者が疲労して、圧迫の深さ、テンポ、解除(胸の戻り)が不十分になるのを防ぐため、周りに協力してくれる人がいたら、1~2分ごとを目安に胸骨圧迫の役割を交代する。交代による中断時間は最小限にし、休んでいる救助者は胸骨圧迫の位置、深さ、テンポが適切に維持されているかをチェックする役目に回る。

メモ

胸骨圧迫の変更点

圧迫の深さが約5cm、圧迫のテンポが1分間100~120回に変更されました。JRC蘇生ガイドライン2015では、圧迫の深さの上限について「6cmを超えない」としていますが、市民向けではこれを意識して深さが不足する懸念があるため、しっかりと約5cm圧迫することのみ強調されています。

その後の手順