救命蘇生法の手順6.人工呼吸〔2回行う〕

傷病者の肺に酸素を含んだ空気を送り、換気を補助するのが人工呼吸の目的です。 新しいガイドラインでは、人工呼吸がためらわれる場合は「省略してもよい」とされていますが、実践方法については一通り知っておきましょう。

方法

口対口人工呼吸(1歳以上~成人)

気道確保の姿勢から、額を押さえていた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみ、吹き込む息が鼻から漏れ出さないようにする。

口を大きく開き、傷病者の口をおおうように密着させる。

約1秒かけて、傷病者の「胸が上がるのが見てわかる程度」の息を吹き込む。

一旦口を離し、息が自然に吐き出されるのを待って、同様に2回目の吹き込みを行う(1回目で胸が上がらなかった場合は、気道確保をやり直してから2回目を試みる)。

参考

乳児(1歳未満)に対する人工呼吸

乳児の口と鼻を同時に口にふくむ「口対口鼻人工呼吸法」を用います。息の吹き込み方法やその後の手順は、成人に対する要領と同じ。

メモ

人工呼吸がうまくできなかったら?

人工呼吸は高い習熟が必要な手技で、一般の人はとっさの救命現場でうまくできないことも多いようです。その成功にこだわり、次の手順(胸骨圧迫)開始が遅れるのは避けなければなりません。うまく胸が上がった場合も、そうでない場合も、2回の吹き込みを終えたら速やかに移るようにします。

メモ

口対口人工呼吸の感染対策

口対口人工呼吸で救助者がウイルスなどに感染する危険性は極めて低いと言えます。ただ、見知らぬ傷病者に対し、感染対策に万全を期す意味と、口が直接触れ合う抵抗感を和らげる意味から、シートやマスクタイプの感染防護具を使用することが推奨されています。すぐに防護具を用意できない状況で、人工呼吸がためらわれる場合は省略してもよく、胸骨圧迫のみでも行うことが大切になります。

その後の手順