胸骨圧迫は心肺蘇生に有効な心拍出量を得て、酸素の含まれた血液を循環させようとする手技です。強く、速く、絶え間ない胸骨圧迫が心肺蘇生にはもっとも重要で、これを行うだけでも救命率は大幅に向上します。方法をしっかり習得しておきましょう。
1.硬い床などに仰向けにした傷病者の胸の横にひざまずく。(図A)
2.胸の真ん中(左右の乳頭を結ぶ線の真ん中=胸骨の下半分)(図B)に片方の手のひら基部(手首に近い部分)をあて、もう片方の手を重ねて組み、腕を垂直に伸ばす(組んだ手の真上に肩がくるように)。
3.手のひら基部だけに力が加わる(体重を乗せる)ように気をつけながら、傷病者の胸が4~5cm沈み込む程度に圧迫する。(図C)
4.1分間に約100回のテンポを目安に、30回連続で圧迫することを目標にする。圧迫と圧迫の間は、胸がもとの高さに戻るように十分に圧迫を解除する。
傷病者が子どもであるときの胸骨圧迫の手順は、基本的に成人と同じですが、 体格の違いから胸の圧迫位置や圧迫の深さが多少変わります。
成人(8歳以上) | 小児(1~8歳未満) | 乳児(1歳未満) | |
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圧迫の 位置 |
胸の真ん中 (両乳頭を結ぶ線の真ん中/胸骨の下半分) |
両乳頭を結ぶ線の 真ん中より少し足側 |
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圧迫の 方法 |
両手で | 両手で (体格に合わせて 片手でもよい)(図D) |
2本指で(図E) |
圧迫の 深さ |
4~5cm程度 | 胸の厚み1/3 |
手のひら全体での圧迫や指先を曲げての圧迫は、肋骨損傷などの原因にもなり好ましくありません。手のひら基部に力を集中させる確実な方法として、組んだ上側の手の指で下側の指を持ち上げるようにして圧迫するとよいでしょう。